腸内環境が肥満と関係しているということは、よく指摘される事実です。
今回は腸内環境を改善させることでダイエットに効果があるのかについて解説し、実際に腸内環境を整えてダイエットに役立てるための方法を紹介していきます。
この記事の内容
腸内環境の改善は体重のダイエットに役立つか?
腸内環境と健康との関係
腸内環境の重要性について、日々多くの議論が行われています。
私達の腸内には多くの腸内細菌が存在しており、その数は100兆個にも上ると言われています。これらの腸内細菌は、違う種類の腸内細菌同士が絶妙なバランスをとりながら存在しています。
腸内細菌が多くの疾患、具体的には肥満や糖尿病、大腸がん、動脈硬化症などの疾患と密接な関係にあることはよく知られています。
また、以前の記事ではメンタルヘルスを関連するということも紹介しました:
大腸がんと腸内細菌が関係しているといわれても、大腸に腸内細菌が存在しているわけですから、それは不思議ではないように感じます。
しかし実際には、前述のように肥満や糖尿病とも腸内細菌は関係しています。
つまり、腸内環境を整えることは、ダイエットにも役立つことと考えられるのです。
腸内環境と肥満とは関係している
実際に、腸内環境の状態によって肥満のリスクは変化します。
なお、腸内環境の存在する細菌は、主に以下の3つに分類されます:
- Bacteroidetes
- Firmicutes
- Actinobacteria
この3つの中でも、FirmicutesとBacteroidetesとの相対的な割合は、特に肥満との関連が示唆されています。
たとえば、ウクライナの成人を対象に実施された研究では、肥満の人ではそうでない人と比べて、Firmicutesが多く存在しており、Bacteroidetes が少なかったことを報告しています。
つまり、Firmicutesが多く、Bacteroidetesが少ないと肥満になりやすいことが示唆されます。
腸内細菌がダイエットに関係するメカニズム
腸内細菌が肥満に関係するとするならば、それはどのようなメカニズムによるものなのでしょうか。以下で具体的に紹介します。
まずFirmicutesには、本来は吸収されないはずの食事中の成分を吸収するようにする働きがあるようです。そのため、この細菌が増えることでエネルギーを余分に摂取してしまうことに繋がり、太りやすくなってしまいます。
次にBacteroidetesに関しては、この細菌が難消化性成分から短鎖脂肪酸を作り出す働きがあることに関係しているそうです。短鎖脂肪酸には、脂肪の吸収を抑制する働きがあり、この細菌が減ってしまうと短鎖脂肪酸の分泌も少なくなってしまうために太りやすくなってしまうとのことです。
参考)
・株式会社林原:「腸内フローラ」って何ですか?, 林原知識ライブラリー
年齢によっても変化する腸内細菌
また、この肥満に関係している2つの腸内細菌ですが、年齢によってその分布が変わってくるそうです。
フランスの研究者らによって行われた研究によると、特に高齢になるにしたがってBacteroidetesの数が減ってくる傾向にありました。
つまり、高齢の人ほど腸内細菌の影響によって太りやすくなっているとも考えられるため、後述する方法によって腸内細菌叢を正常化する働きが求められます。
腸内環境を改善する方法
上記までで腸内細菌叢と肥満との関係については紹介してきました。
下記では実際似腸内環境を改善する方法、プロバイオティクスとプレバイオティクスについて紹介していきます。
プロバイオティクス
プロバイオティクスとは?
プロバイオティクスについては、腸内細菌学会による以下の定義がわかりやすいと思います:
Fuller(1989)により「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義され、これが現在でも広く受け入れられている。プロバイオティクスの候補としては乳酸菌やビフィズス菌が有名
簡単にいうと腸内細菌叢(腸内フローラ)を改善する微生物です。乳酸菌やビフィズス菌など、乳酸菌飲料やヨーグルトなどの乳製品・発酵食品に多く含まれています。
プロバイオティクスを摂取する方法
基本的には、市販されている乳酸菌飲料やヨーグルトなどの発酵食品を摂取すると良いでしょう。
細菌では、サプリメントも多く販売されており、比較的容易に摂取することができます。
また、これらのプロバイオティクスは、長期間にわたって継続的に摂取しないと、十分な効果(腸内環境の改善)は起こりません。ですので、毎日コツコツと先にあげたような食品を摂取するようにしましょう。
プレバイオティクス
プレバイオティクスとは?
プレバイオティクスについても腸内細菌学会の定義を参照したいと思います:
プレバイオティクスは大腸内の特定の細菌の増殖および活性を選択的に変化させることより、宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分と定義した。
先ほどのプレバイオティクスが微生物だったのに対して、こちらは食品中の成分となります。具体的にはオリゴ糖や食物繊維などが該当します。
プレバイオティクスを摂取する方法
前述のオリゴ糖や食物繊維は、野菜や果物に多く含まれています。従いまして、これらの食品を食事に取り入れることが、プレバイオティクスを摂取するために効果的ということになります。
またオリゴ糖や食物繊維などもサプリメント等として市販されています。前述の食品から取り入れるのが好ましいですが、それが難しい場合、それらの製品を利用しても良いでしょう。
まとめ
今回は腸内環境と肥満との関係について紹介してきました。
腸内細菌、特に BacteroidetesとFirmicuteの2つの細菌が大きく関係しています。Bacteroidetesを増やし、Firmicuteを減らすのが効果的な可能性があります。
腸内環境を改善させるためには、プロバイオティクスとプレバイオティクスが効果的です。
なお、腸内細菌を改善するだけでは体重を減らすのは難しいかもしれません(食事制限や運動も重要)。
しかし、プロバイオティクスを摂取し腸内環境を整えることは、体重減少だけでなく、それ以外にも多くのメリットがあります。
ですので、これらは食事制限や運動とあわせて行うとより効果的だと思います。
この記事を書いたトレーナー

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