生活習慣病の予防のために積極的に摂取したい栄養素の1つに「食物繊維」があります。第6の栄養素とも言われる食物繊維に焦点をあて、基本的な知識と食物繊維が体に良い理由、摂取の際の注意点について紹介したいと思います。
この記事の内容
食物繊維とは?
食物繊維という言葉は、人間の消化酵素で消化されない食物中の成分を総称しています。
「人間の消化酵素で分解されない」というと、体にとって良くない成分のように聞こえるかもしれません。
確かに、食物の不足していた時代では敬遠されていた成分かもしれませんが、飽食の時代である現代では、その特性によって様々な健康効果をもたらします。
イメージしやすいところでは、野菜等に含まれる繊維質の部分も食物繊維です。
その他にも、海藻に含まれるネバネバとした成分や、甲殻類の殻の部分なんかも食物繊維の一種です。単純にイメージできる食物繊維よりも、たくさんの種類の食物繊維があることがわかります。
食物繊維には、大きく2つの種類があります。水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維です。
この2つには効果等に違いがあることが示唆されていますが、実際に食事をする際にそれらを分けて考えるメリットにも乏しいので、以下では2つを同一のものとして解説していきます。
食物繊維が体によい理由
①便秘を予防・改善できる
食物繊維は、便秘の予防・改善に効果を発揮します。
人の排便の量は、1日あたり150g程度とされており、これに達しない場合は排便が妨げられ、便秘になると考えられます。
食物繊維は、人間の消化酵素で分解されずにそのままの形で大腸にまで到達するため、そのまま糞便の量を増加させます。これにより、便秘が改善されると考えられます。
参考)
・厚生労働省:e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康(2019)
加えて、食物繊維は腸内細菌のバランスを整える働きもあるとされています。
腸内細菌のバランスは、いわゆる善玉菌と悪玉菌とがせめぎ合って成り立っていますが、食物繊維は悪玉菌を減少させることがわかっています。これにより腸内環境がよい方向に傾き、便秘の予防・改善に効果を発揮すると考えられます。
②余分なコレステロールを排泄する
食物繊維には、食事中に含まれる余分なコレステロールを排泄する働きもあります。
これは、食物繊維の構造に関係しています。
食物繊維は、その名称から糸のような構造をしていると考えられがちですが、実は「多孔質」とよばれる、穴がたくさん空いたような構造をしています。
この穴が、糖質やコレステロールを吸着します。食物繊維は消化吸収を受けないので、そのままの形で体外に排泄されるのです。
参考)
・大塚製薬:食物繊維の分類と特性
食物繊維を摂る際の注意点
①栄養素の吸収を妨げる可能性
食物繊維の摂取が多くなりすぎると、ビタミンやミネラルなどの、特定の栄養素の吸収を阻害する可能性があるとされています。
参考)
・MSDマニュアル:食物繊維(2014)
先にあげたように、食物繊維は多孔質な構造をもっており、それが栄養素の吸収を妨げる要因になります。
食物繊維の種類や量によっては問題ないともされていますが、いずれにせよ摂りすぎないようにしなければなりません。
特に、大量の摂取になりがちなサプリメントの利用には注意しましょう。
②摂りすぎると下痢等のリスクも
食物繊維は糞便の量を増加させると同時に、腸のぜん動運動が活発になることによっても、便秘が改善されます。
しかしこのことは、裏を返せば、摂りすぎによって排便を促す、つまり下痢を誘発することにもなりかねません。
通常の食事から摂取できる程度の量だと問題にはなりにくいでしょうが、サプリメント等で大量に摂取する場合には注意が必要だと考えられます。
特に、お腹を下しやすいという方は、食物繊維のサプリメントの利用には、より一層の留意が必要となるでしょう。
まとめ
食物繊維は、日本人において特に摂取が不足している栄養素の1つです。
しかし、今回紹介したように、摂取した場合に健康へのメリットが大きいこともわかります。
摂取する際は、サプリメント等による摂りすぎのリスクに注意しながら、野菜等の食物繊維の多い食品を食事に取り入れるようにしてみましょう。
この記事を書いたトレーナー

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