たんぱく質を構成しているアミノ酸には、大きく「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」の2つに分けることができます。
以下ではアミノ酸の基本的な知識を解説しつつ、必須アミノ酸と非必須アミノ酸の違い、必須アミノ酸の考えを応用したアミノ酸スコアという概念について紹介したいと思います。
この記事の内容
アミノ酸とは?
たんぱく質は、生命活動に欠かすことの出来ない非常に重要な栄養素の1つです。私たちの体を動かす筋肉はもちろんのこと、たとえば酸素を運ぶヘモグロビン、血糖値を細胞等に取り込む働きをするインスリンなどもたんぱく質から構成されています。
もはや私たちはたんぱく質なしでは生きていけません。それほど深く、私たちの生命活動に関わっています。
たんぱく質は、アミノ酸から構成されています。数え切れないほどの種類があるたんぱく質ですが、実はそれらを構成しているアミノ酸はたったの20種類しかありません。
それらの種類や配列、数によって出来上がるたんぱく質は変わってきます。
たった20種類のアミノ酸ですが、それらががたくさん結合し、複雑な形を作り出すことで多種多様なたんぱく質を生み出す事ができるのです。
アミノ酸の種類
アミノ酸はアミノ基(NH2)とカルボキシル基(COOH)を有していることからその名前がつけられました。
それ以外の部分の違いによって、たくさんの種類のアミノ酸ができます。アミノ酸のうち、たんぱく質を構成しているアミノ酸は、人間の体で合成できるかできないかによって、大きく2種類に分けることができます。前者を必須アミノ酸といい、後者を非必須アミノ酸といいます。
必須アミノ酸
必須アミノ酸は、人間の体で合成できないアミノ酸のことを指します。体にとって欠かすことができないことから、不可欠アミノ酸と呼ばれることもあります。
以下の9種類があります:
イソロイシン・ロイシン・バリン・ヒスチジン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・トレオニン・トリプトファン
非必須アミノ酸
非必須アミノ酸は、必須アミノ酸とは違い、人間の体でも合成できるアミノ酸です。ただし、決して不要というわけではなく、生体内で有用な働きをしているアミノ酸もたくさん存在します。
以下の11種類があります:
アスパラギン・アスパラギン酸・アラニン・アルギニン・システイン・グルタミン・グルタミン酸・グリシン・プロリン・セリン・チロシン
アミノ酸スコアについて
必須アミノ酸がどれだけバランス良く含まれているかの指標としてアミノ酸スコアがあります。
アミノ酸スコアが100に近いほどたんぱく質としての質が良く、摂取したたんぱく質が効率よく活用されることが示されています。
アミノ酸スコアは、アミノ酸評点パターンを参考に決められます。
これはFAOによって定められているもので、たんぱく質1gあたりの必須アミノ酸の基準値が決められています。
たとえば、ヒスチジンはたんぱく質1gあたり15mgという基準値が定められています。
これより多いか少ないかを、9つの必須アミノ酸ごとに判定していきます。
その際に、もっとも基準値を満たしていなかったアミノ酸があれば、それは第一次制限アミノ酸とし、その割合がアミノ酸スコアとなります。
たとえば、ヒスチジンが第一次制限アミノ酸となった場合で、たんぱく質1gあたり9mgしかヒスチジンが含まれていなかったとした場合、9 / 15 × 100 = 75 がそのたんぱく質のアミノ酸スコアとなります。
参考)
・森永製菓:かんたん、わかる!プロテインの教科書|アミノ酸スコアとは?計算方法、主な食品のアミノ酸スコア例を紹介
なぜ、このような方法でアミノ酸スコア(たんぱく質の質)を決めるのでしょうか。
これには、たんぱく質の吸収が関係しています。
なんと、たんぱく質の吸収はもっともアミノ酸評点パターンを満たしていないアミノ酸(第一次制限アミノ酸)によって制限されてしまうのです。1つでも基準を満たしていないアミノ酸があると、それによって他のアミノ酸の吸収まで制限されてしまいます。
これを、「桶」にたとえて、たんぱく質の吸収における「桶の理論」と呼ぶこともあります(桶を作っている板の1枚でも壊れると、水はそれ以上たまらないことから)。
まとめ
今回はアミノ酸について、必須アミノ酸と非必須アミノ酸とに焦点をあてて紹介しました。
アミノ酸スコアは少し難しい概念ですが、このような考え方を知っておくと非常に便利です。ぜひ参考にしてください。
この記事を書いたトレーナー

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